日本LGBTサポート協会の活動レポート

【幸せな家族のカタチ】「LGBTQ+でも親になれる!」を叶えた女性カップル

「LGBTQ当事者だけど、理想のパートナーを見つけたい」
「パートナーが欲しいけど出会いがない…」
「いつかは子育てを経験して家族を持ちたい」

そう考えていませんか?

異性カップルや同性カップルに限らず、誰もが幸せな愛の形を築きたいと考えているはず。

そこで、今回は【LGBTQで幸せな家族のカタチを実現した女性カップル】を紹介します!

現在は3人の可愛いお子様を育てられているカップルさんですが、今の幸せを手に入れるまでにどのような壁を乗り越えてきたのでしょうか。

出会いから別れ、カミングアウト、妊活、そして出産を全て経験してきた「YURIさん&ゆいさんカップル」の馴れ初めを紹介します!

 

【記事で紹介するYURIさん&ゆいさんカップル】
LGBTQの(B)バイセクシュアルカップル。
2016年の春から交際をスタートし、2年後の2018年に養子縁組を結ぶ。
その後、「妊活」を経て3人の子どもが誕生する。
現在は4歳、3歳、2歳の子どもの子育てに奮闘している。
YURIさんの運営するブログ「ママビアンライフ」では、同性カップルの妊活・子育て情報を発信中。

【出会い】「好奇心」からの始まり

「YURIちゃんに絶対に合う人を連れてきてあげる」

会社のバイセクシュアルの先輩から、このように言われたのは2016年の春頃だったそう。

YURIさんは当時、1年半ほど付き合っていた彼氏と別れて新たにパートナーを探していました。

YURIさんは、自身を「バイセクシュアル」だと自覚したのが25歳と少し遅めだったこともあり、それまでは男性としかお付き合いをしたことがなかったそうです。

しかし、バイセクシュアルの先輩が沖縄料理店に連れてきたのは「女性」でした。

この女性こそ、後にYURIさんのパートナーとなるゆいさんでした。

「てっきり男性が来るかと思った」と話すYURIさん。

しかも、初対面で先輩がたまたま仕事の関係で遅刻してきた為、沖縄料理店でいきなり2時間程2人きりで飲むことになったそうです。

初対面ではあったものの、意外と会話が弾み、気付いたら沖縄民謡に合わせて一緒に踊っているくらいすぐに意気投合したようです。

楽しい時間を過ごした2人は、偶然にも家が近所だったようで、その日から定期的にYURIさんの家で飲むようになりました。

その頃YURIさんは、「人生1回きり。1度くらい女性と付き合ってみたいかも」とふと思ったそうです。

そして、出会って2週間ほどでYURIさんがゆいさんに告白。

実は、告白をしたのは「半分は好奇心、半分は好き」という気軽な気持ちだったそうです。

当時、別の男性からも同時に告白を受けていたというゆいさん。

悩んだ末にYURIさんとの交際を選び、そこから2人の関係はスタートしました。

【3度の別れ、そして復縁】「普通の人生を歩もう」と苦悩した日々

2人は順調に交際を続けていましたが、当時はYURIさんが26歳、ゆいさんが32歳でした。

社会では「結婚適齢期」と言われている年齢です。

付き合った当初は、友人たちの結婚&出産ラッシュにも重なりました。

「女性同士では、どんなに愛し合っていても結婚も出産も子育てもできない」。

そんな理由で、3度も別れては復縁するという悲しく苦しい時期もありました。

3度目の別れを告げたのはYURIさんで、「もうこれ以上ゆいと付き合い続けてしまったら、ゆいが結婚適齢期を逃してしまう」と感じたのだといいます。

なんとも悲しいことに、最後の別れを切り出したのはYURIさんのお誕生日の日の夜でした。

2人でお祝いに泊まりに行った温泉宿で別れを切り出したのです。

ゆいさんは、布団で一晩中泣いていたようで翌朝、ゆいさんの目が赤く腫れ上がっていたといいます。

「もうこんな悲しい思いをしたくない。大好きだからこそ、お互いに”普通の結婚”をして幸せになろうね」。

そう言って、2人は別々の道を歩み始めました。

【転機】お見合いに失敗し、自分探しをするため1人海外へ…

しばらくすると、ゆいさんに彼氏ができました。

ゆいが彼氏ができたと聞いて、YURIさんも「結婚相談所」に登録します。

そこで紹介してもらったのは、中国に住むエンジニアの素敵な男性でした。

その男性とは何度か電話やメールでのやり取りをして、結婚を前提に中国に住む男性に会いに行くことになりました

しかし、いざ中国で男性と会い、新婚夫婦のように生活をしてみても、YURIさんの心には「ゆいさん」がいました。

そして、ついには中国滞在中に一睡もできなくなってしまいました。

「私は、好きでもない人と一生このまま人生を共にするの?」

そう考えると全く眠れなくなってしまい、予定を変更して中国滞在を短くし、そのままシンガポールへ「自分探しの旅」をすることを決意したのです。

シンガポールで何かをする訳でもなく、ただブラブラと放心状態で街を歩いていたYURIさん。

すると、偶然アメリカ人の友人とシンガポールの街で再会します。

その友人とたまたま飲みに行くことになり、今の状況を説明して聞いてもらいました。

すると、

「なんでそんな事で迷っているの?君は両親や友達を喜ばせるために結婚するの?
君の人生は君だけのもの。自分が一番幸せになる道を選ぶべきだよ。」

と伝えてくれたそうです。

その言葉にYURIさんはハッとしたと言います。

今まで自分の本当の気持ちを押し殺して、周りの目ばかりを気にする人生だったと。

【プロポーズ】自分の人生は自分でデザインする決意

アメリカ人の友人の言葉で目が覚めたYURIさんは、帰国してすぐにゆいさんを自宅に呼び出します。

そして、こう伝えました。

「これから大変なことや辛いことも沢山あると思う。だけど、私はあなたと一緒に全てを乗り越えていきたい。これからの長い人生、私と一緒に歩んでいこう」と。

プロポーズです。

ゆいさんは、まさかYURIさんの口からこんな言葉が出るとは思っていませんでした。

それに、なんとゆいさんも数日前に付き合っていた男性とお別れしていたばかりのタイミングでした。

ゆいさんは、はにかみながらも「いいね、嬉しい!」という返事をしてくれました。

そして2018年の秋、YURIさんとゆいさんは「家族」になりました。

【妊活・出産】私たちに起きた3度の奇跡

お互いの両親へのカミングアウト、そして養子縁組と、目まぐるしく2人の関係は進展していきます。

そして、YURIさんとゆいさんが長年夢見てきた「子育て」も実現する日が来ました。

海外の精子バンクを利用して、YURIさんが第一子となる子どもを妊娠したのです。

2人が家族になってから半年後くらいのことです。

お二人は、その半年間で「子ども」に関する話し合いを重ねてきました。

「子どもには出自のを伝えるか」
「周囲へのカミングアウトはどこまでするのか」
「もし、障害がいがあったらどうするか」
「子どもたちに真実をいつ伝えるのか」

などを徹底的に話し合ったと言います。

そして、2020年にYURIさんが第一子を出産。

その翌年の2021年にゆいさんが第二子を出産。

さらに、その翌年の2022年に再びYURIさんが出産をしました。

3年間で家族は一気に5人に増えてとても賑やかになりました。

そして、「女性カップルの子育て」という、ロールモデルがいない中での3人の子どもたちの子育てがスタートしました。

【同性カップルの子育て】1つ1つの困難を乗り越えていく

同性カップルの子育ては、妊娠期間から困難にぶち当たることが多かったそうです。

例えば、母子手帳を貰いに行くと「夫」について聞かれたそうです。

女性であることを隠して「ひとり親」にするのか、それとも市役所の職員さんに本当のことを伝えるかで悩んだと言います。

さらに、通っている産婦人科にも女性カップルであることを伝えるべきかも悩みました。

結局、立ち会い出産を希望した為、病院には真実を話して立ち会い出産に挑んだYURIさん。

子どもが生まれてからも、1人目の出生届では「ひとり親」として申請したため、「夫」に関するあらゆることを根掘り葉掘り聞かれたのだとか。

例えば、旦那はどこに住んでいる誰であるか、認知しているのか、出会いはどこだったのかなど。

さまざまな場面で嘘を重ねていくことが続き、次第に心も疲弊していったと言います。

その後2人で話し合った結果、「子どもを育てていくからにはコソコソ生きる人生をやめよう」という結論になりました。

市役所には同性カップルであることや、ドナーに協力してもらい子どもを授かったことなど全てを話しました。

市役所は「前例がないので、少し職員同士で話し合いを進める」と回答し、市の判断で同性カップルでも保育園などで「ひとり親かそうでないか」を選べるような配慮をしてくれたのです。

このように、「同性婚」が認められていないからこそ、1つ1つの手続きが複雑で苦労もあったそうです。

今は3人とも同じ保育園に通い、保育園の職員、お友達、ママ友など全ての人がYURIさんとゆいさんファミリーのことを理解してくれているそうです。

【未来】海外移住、そして世界一周へ

そんな素敵な家族を築いているYURIさんとゆいさんファミリー。

お二人にはどうしても叶えたい夢があるのだそう。

それは、「海外移住」と「世界一周」です。

なぜ海外移住かと言うと、このような家族のカタチはまだまだ日本では少ないのが現実。

子どもたちにはもっと色々な家族の形、人種、宗教、価値観に触れて欲しいと考えているからです。

YURIさんも学生時代からバックパッカーをしており、31カ国もの国々を回ったそう。

さまざまな国の価値観に触れることで、学ぶことも多かったそう。

例えば、オランダのアムステルダムで同性カップルがピクニックする姿をみたことで、「こんな家族もありなんだ」と感じたと言います。

YURIさんは、「あの体験がなかったら、私はゆいと家族を築くという選択肢が浮かばなかったと思う」と話します。

また、子どもたちは海外のドナーさんから提供を受けたため、世間で言う「ハーフ」です。

海外にもルーツがあることから、もっと広い世界をみて欲しいと願っているのだとか。

「世界一周」も広い世界を見るにはとてもいい機会だと話します。

お二人のこれまで乗り越えてきたエネルギーで、これらの夢も叶えられそうですね。

まとめ:LGBTQでも幸せなパートナーシップを築くことができる

今日紹介したのは、女性同士のカップルであるYURIさん&ゆいさん。

いくつもの障害を共に乗り越えてきたパワフルなカップルでしたね。

お二人のように、LGBTQでも幸せなパートナーシップを築くことができます。

「日本では無理だ」と思わず、ぜひあなたの理想のパートナーと出会い、あなたらしい人生をデザインして下さいね。

You only live once, so make the most of it.
(人生は一度きりだから、最大限に生きよう。)

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